地元産ヒノキで大災害も乗り越えた近代洋風建築 紀北町立海山郷土資料館(紀北町) 三重の近代歴史遺産を楽しむ
 紀北町の海山区を流れる船津川沿いに、白い瀟洒しょうしゃな洋館がたたずみます。明治43年(1910)建築以来、様々な役割を果たしてきた建物の現在の名称は、紀北町立海山郷土資料館。展示品は無料公開されています。
 「もともとは、地元林業家の別邸で、ショールームの役割も兼ねました。最新の製材機械などの実演販売を行ったといいますから、随分斬新ですよね」と教えてくれるのは、主事の田中稔昭としあきさん。戦後に当時の船津村に寄贈され、村役場として活用。以後、公民館・公営結婚式場など、地域の人々と密接に関わってきました。
 「外観は洋風ですが、屋根は合掌がっしょう造りで、日本古来の技法も取り入れています。建材には地元の堅牢なヒノキが使われているから、浸水した時も建物自体はびくともしませんでした」。お話の浸水被害とは、記憶に新しい平成16年9月の台風21号による大規模災害のこと。船津川の氾濫のため、資料館も床上1.5メートルまで水に浸かったといいます。被害を受けた古文書などの修復は、2年ぶりにようやく完了の時を迎えようとしています。
 青空の下、白さが一層際立つ洋館は、共に災害を乗り越えてきた地域の人々を、これからも見守り続けていくことでしょう。

お問い合せ
紀北町立海山郷土資料館
TEL 0597-36-1948
月曜日、祝祭日、12月29日から1月3日休館
青空に白さが映える資料館外観
青空に白さが映える資料館外観

町内に自生する樹木が植えられている庭園
町内に自生する樹木が植えられている庭園

細部にまで施された美しい意匠
細部にまで施された美しい意匠

合掌造りの技法を取り入れた屋根
合掌造りの技法を取り入れた屋根

庭園内に建つ歌人・折口信夫の歌碑
庭園内に建つ歌人・折口信夫の歌碑

田中稔昭さん
田中稔昭さん

前のページ
次のページ
もどる