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 外宮から内宮へ向う参宮街道の中ほどにあった遊郭・古市は、お伊勢参りの旅人がこぞって繰り出した歓楽街でした。遊郭では遊女が伊勢音頭を舞い、お杉お玉の芸人が三味線を弾きながら、客の投げる銭をバチで受けとめ拍手喝采…、古市三座と呼ばれた3つの芝居小屋では連日盛んに歌舞伎が上演されました。江戸時代、ここで評判をとった歌舞伎は京都や大阪でも上演されたほど全国に名をとどろかせていました。それだけに芝居通が多く、古市の舞台は役者の登竜門になったといいます。
 古市歌舞伎を代表するのは、古市で実際に起こった刃物騒ぎ「油屋騒動」が芝居に仕立てられた「伊勢音頭恋寝刃」です。昭和30年に途絶えた歌舞伎も平成7年に保存会が結成され、「伊勢音頭恋寝刃」が地元で演じられるようになりました。


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「伊勢音頭恋寝刃」は事件から2カ月後大阪で上演された。

●古市歌舞伎保存会(野村さん方) TEL0596・28・4870
●主な公開日
 10月頃 古市歌舞伎公演(伊勢市内)




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 伊勢市楠部町は五十鈴川で潤される田園地帯。神宮専用の神田があり、毎春行われる古式ゆかしい「御田植初祭」に地元の人々は奉仕しています。この地域に「萬歳楽」という伝統の神楽があり、平成13年、4半世紀ぶりに復活しました。萬歳楽は享保年間(1716〜1735)の文献にあるのが最も古く、豊年舞と鬼打ち儀式が行われます。
 素襖を身に着けた舞人が桶を肩に担ぎ、豊作を祈る祝い言葉を唱えながら一升枡のまわりを3周。「萬歳楽」というと見物人が「マーンザラク」と囃子言葉で唱和します。一方、鬼打ち儀式は鬼の絵が描かれた的に向って矢を放ち、無病息災・家内安全を願います。保存会では、次世代に継承したいと子どもの参加を呼びかけ、祭当日は午前の神事と萬歳楽のあと、子ども御輿が町を練り歩きます。


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豊年舞は「萬歳楽」と唱えながら回る。刈取った稲穂を運ぶ姿を表現していると考えられている。






●楠部町萬歳楽保存会(野間さん方) TEL0596・22・2473
●主な公開日
 1月第3日曜 くすお神社例大祭 (伊勢市楠部町)